Kイオンの輸送とループ利尿薬による低Ca血症
近位尿細管やヘンレのループ、集合管におけるKイオンの輸送が今回のテーマです。
Kイオンはまず、近位尿細管にて、濃度勾配・電位差にて再吸収されます。
ヘンレのループの太い上行脚では、Na-K-2Cl共輸送体によってNaとClとともにKイオンは再吸収されます。
この時、一部のKイオンは尿細管上皮細胞の尿細管腔側にあるチャネルを介して、再び尿細管に分泌されます。これをKイオンの再循環といいます。
これにより、尿細管腔は正電位となります。
この電位差により正電荷を持つCaイオンとMgイオンが細胞間隙を通って再吸収されます。
集合管においては、拡散によりKイオンは管腔内へ分泌され、また、アルドステロンがNa-K ATPaseに作用し、Kイオンを管腔内に分泌します。
以上の流れでKイオンは再吸収と分泌をしていきますが、注目すべきはヘンレのループの太い上行脚でのKとCaの動きです。
ループ利尿薬を投与すると、Na-K-2Cl共輸送体が阻害されます。すると、Kイオンの再循環が阻害され、Caイオンの再吸収も減少します。
これにより、ループ利尿薬では低K血症、低Ca血症をきたします。
また、ここでは触れていませんが、サイアザイド系利尿薬の副作用として高Ca血症があります。
この機序は需要があれば次回以降の記事で解説しようと思います。
新生児の成熟度の評価 111B29
まず、新生児の特徴として、体重あたりの体表面積が成人よりも大きいため、環境温度の影響を受けやすいです。なので、生後間もないうちは体温管理に気をつけなければなりません。
また、成熟度を評価するにあたって診るポイントは以下のようになっています。◯なら成熟していると評価します。
①皮膚が厚いか
②皮下脂肪が厚いか
③産毛は少ないか
④耳介軟骨は厚く、硬いか
⑤足底のしわは深くて多いか
⑥精巣下降はしているか、あるいは大陰唇の発達はしているか
僕個人の認識ですが、産毛は成熟児だと多いんだっけ?少ないんだっけ?と混乱してしまいます。
『産毛(うぶげ)』という名前に注目しましょう。成熟していれば『うぶ』ではない、つまり大人ですよね。なので、成熟児では産毛は「少ない」です。(完全なこじつけですw)
また、しわの深さ・多さですが、これは成人の場合を思い浮かべましょう。お爺さんやお婆さんになるとしわは増えるし、深くなりますよね。なので成熟児の方が「深く、多い」です。
これはあくまで覚え方ですので、理論的に正しいかどうかはわかりませんw。
また、新生児の身体所見で経過観察してもよいものを以下に列挙します。参考までに。
・サーモンパッチ:前額正中・上眼瞼の境界不明瞭な紅斑
・出生直後や啼泣時の四肢末端のチアノーゼ
・生理的黄疸:生後2〜3日に始まる皮膚の黄染
・産瘤・頭血腫
・上皮真珠腫:主に歯茎に生じる光沢のある白色腫瘤
・乳房肥大・乳汁分泌:母体からのエストロゲン消退による
・肝触知:乳幼児まで通常、2〜3cm触知
・処女膜ポリープ:母体からのエストロゲン移行による膣入口部の突起物
・新生児月経:母体からのエストロゲン・プロゲステロン消退による性器出血
引用 REVIEW BOOK 小児科
Cushing症候群の検査の流れ 109I78
Cushing徴候を示す疾患を診断について。
僕自身はとてもややこしいなぁと思っています。
かなり大雑把にはなりますが、以下のような流れでCushing徴候を呈する疾患を絞り込んでいきます。
①診察にてCushing徴候を認める。
↓
②血中ACTH濃度の測定
ここで、ACTH依存性か否かを判断します。
↓
③血中コルチゾール濃度の測定
↓
④血中コルチゾール濃度が基準値を超えている場合、確定診断に必要な以下の検査を行う
・CRH試験
・大量デキサメタゾン(8mg)抑制試験
・画像診断(MRI、CT)
・131I-アドステロールシンチ
参照 Year note
ちなみにですが、Cushing症候群をきたす疾患は、Cushing病、異所性ACTH分泌、副腎腺腫、副腎癌があります。
副甲状腺ホルモン(PTH)の作用 109I25c
PTHの作用についてややこしいなーと思いましたので、まとめます。
まず、当たり前ですが、名前の通り副甲状腺から分泌され、血中Caの調節を行います。
具体的な作用としては以下のとおりです。
①破骨細胞の活性化により、骨吸収を促進
②腎尿細管(近位)にてP、水酸化物イオンの排泄を促進、また活性型ビタミンDの産生を促進
③腎尿細管(遠位)にてCa再吸収の促進
参照 病気がみえる 内分泌より
つまり、血中Caを上げて、血中Pを下げます。
しかしながら、骨芽細胞への分化を促進する作用もあります。
この、骨芽細胞への分化を促進する作用を利用し、骨粗鬆症の治療に、PTH製剤を用います。
結局、破骨細胞と骨芽細胞のどっちの作用を促進するんだということになりそうですが…。
持続的にPTHが分泌されている状態では破骨細胞が優位になり、骨吸収が促進されます。
しかし、間欠的にPTHを投与すると骨芽細胞の分化が優位に促進され、骨形成が促進されます。
ちなみに、甲状腺のC細胞(傍濾胞細胞)から分泌されるカルシトニンはCaもPも下げます。
児頭骨盤不均衡(CPD) 109E23
個人的に覚えにくいので、CPDについてまとめます。
児頭と骨盤の大きさに不均衡が生じているため、分娩が停止または母児に障害をきたしうるものをいいます。
疑う所見としては以下の4つ。
①身長150㎝以下(低身長)
②Seitz法+
③子宮底長35㎝以上
④初妊婦で分娩予定日が近いのに児頭が浮動
検査としては骨盤X線、超音波にて行います。X線を使うことについてですが、器官形成期は終えているので、問題ないようです。
対応としては、骨盤X線にて、真結合線と児頭大横径との差が1㎝以下なら帝王切開、1〜1.5㎝なら試験分娩を行います。
子宮収縮薬は子宮破裂などを起こす危険性を高めるため禁忌です。
※Seitz法:児頭が恥骨結合より高いかどうかを診る
※真結合線:恥骨結合後面と仙骨の中央を結んだ線
参考文献 MEC産婦人科Purple